通信制高校とはどんな学校?|卒業までの仕組み・登校日数・学費・向き不向き

学校の靴箱

  • 通信制高校って、ちゃんとした高校なの?卒業したら高卒になる?
  • 全日制や定時制と、何が違うの?
  • 毎日通わないなら、どうやって勉強して単位を取るの?
  • スクーリングは年に何日で、どこへ行くの?
  • 3年で卒業できる?留年はあるの?
  • 学費は1年でいくら?就学支援金でどこまで減る?
  • 高校の途中からでも入れる?中学の欠席が多くても入れる?
  • 子に向いているかどうかは、どこを見れば分かる?

上記のような悩みに答えます。

文部科学省の調査では、小中学校の不登校は35万4千人(令和6年度)でした。高校でも約6万8千人(同じ年度)が不登校で、中学や高校で学校に行けない時期があった子の進路を考えるとき、通信制高校という言葉に初めて向き合う家は少なくありません。そこで、法令と学習指導要領が決めている「どの学校でも同じ枠」と、登校の形や費用のような「学校ごとに違う部分」を分けて、通信制高校が法律の上で何に当たるのか、3つの学び方、卒業の要件を押さえたうえで、登校の日数が学校で違うわけ(面接指導の時間の標準と、メディアを使った学習で減らせる割合)と、向いているかを性格でなく仕組みの項目で確かめる方法まで、学校教育法や学習指導要領の原文で確かめながら整理しました。

先に答え

通信制高校は、全日制・定時制と同じ学校教育法の「高等学校」で、卒業すれば同じ高卒の資格になります(3年以上在籍し、必履修科目を含めて74単位以上を修得し、特別活動に参加して、在籍する高校の校長が卒業を認めます)。違うのは授業の受け方で、添削指導(レポート)・面接指導(スクーリング)・試験の3つで学びます。登校の日数が学校で違うのは、面接指導の時間を、メディアを使った学習を取り入れて決まった割合まで減らせるからです。向いているかは、この仕組みを子の生活に当てはめ、学校案内や募集要項という書面で確かめます。

2026年11月時点の制度で確かめています

出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」

目次

通信制高校は全日制・定時制と同じ高等学校

学校の靴箱

通信制高校は、全日制や定時制と別の種類の学校ではありません。学校教育法の第1条が定める「高等学校」のなかに、全日制・定時制・通信制という3つの「課程」があり、通信制高校はそのうち通信制の課程で学ぶ高校です。卒業して得られるのは、どの課程でも同じ高等学校の卒業です。

法律がこう組み立てられているのは、高校で学ぶ人の暮らし方が一つではないからです。学校教育法の第53条は、高校に全日制の課程のほか定時制の課程を置けることを、第54条は全日制か定時制のほかに通信制の課程を置けること、通信制の課程だけを置く高校も作れることを定めています。同じ高校のなかに全日制と通信制が並んでいることもあれば、通信制だけの高校もあります。どちらも「高等学校」です。

高等学校には、全日制の課程又は定時制の課程のほか、通信制の課程を置くことができる。

学校教育法 第53条(e-Gov法令検索)/学校教育法 第54条(e-Gov法令検索)

全日制の課程 定時制の課程 通信制の課程
法律の根拠 学校教育法の高等学校 第53条 第54条
授業の受け方 学校に通って授業を受ける 学校に通って授業を受ける(時間帯は学校で違う) レポート・スクーリング・試験
修業年限 3年 3年以上 3年以上
卒業に要る単位 74単位以上 74単位以上 74単位以上
卒業を認める人 在籍する高校の校長 在籍する高校の校長 在籍する高校の校長

入学できる人の決まりも、課程で分かれていません。学校教育法の第57条は、高校に入学できるのは中学校を卒業した人か、それと同等以上の学力があると認められた人だと定めていて、条文は全日制・定時制・通信制で分けて書かれていません。どの学校に応募できるかは、学校ごとの募集要項で決まります。

たとえば、中学3年生で全日制の高校と通信制の高校の両方を考えている場合、卒業の資格そのものは課程で変わりません。比べるのは、毎日決まった時間に通う形と、レポートを家で進めて決まった日に登校する形のどちらなら、子が3年以上かけて単位を取り続けられそうか、です。

ここで押さえておきたいのは、「通信制」は学校の格の話ではなく、授業の受け方の名前だということです。そう読むと、次の項からの「学び方」「卒業の要件」「登校の日数」も、同じ高校のなかの受け方の違いとして並べて見られます。

学び方はレポート・スクーリング・試験の3つ

通信制の課程の授業は、添削指導・面接指導・試験の3つの方法で行うと、文部科学省の省令で決まっています。添削指導がいわゆるレポート、面接指導がいわゆるスクーリングです。この3つは、どの通信制高校でも同じ柱です。

教室で毎日授業を受ける代わりに、教材で家で学び、その理解をレポートで確かめ、決まった日に学校で直接指導を受け、試験で単位の修得を確かめる、という組み立てになっています。省令はさらに、放送などの多様なメディアを使った指導を加えてよいことも定めています。映像の講座やオンラインの学習は、この「加えてよい方法」に当たります。

添削指導、面接指導及び試験の方法により行うものとする。

放送その他の多様なメディアを利用した指導等の方法を加えて行うことができる。

通信教育用学習図書その他の教材を使用して学習させるものとする。

高等学校通信教育規程 第2条(e-Gov法令検索)

方法 呼ばれ方 家と学校のどちらで 学校ごとに違うところ
添削指導 レポート 家で書いて出す 出す数・締切・出し方(郵送かオンラインか)
面接指導 スクーリング 学校や決められた施設で受ける 日数・曜日・場所
試験 単位認定試験 学校や決められた施設で受ける 回数・時期・場所
多様なメディアの利用 映像の講座・オンライン学習 家で受けることが多い 取り入れているか・どの科目か

東京都の公立の通信制の入学案内では、30単位を登録した場合に年間約82〜86通のレポートを出し、前期と後期に単位認定試験を受ける形が示されています。これは都立の例で、レポートの数や試験の回数は学校ごとに違います。

たとえば、学校案内を2校並べて比べるときは、見るべきなのは「登校が少ないか」だけではありません。家でレポートを進める時間をどう確保するかも、同じくらい大事です。レポートで分からないところが出たときに、スクーリング以外で質問できる場所や時間があるかも、学校案内で確かめます。

3つの方法は、通信制の課程の教育の方法として規程が並べて定めています。学校案内を読むときは、レポート・スクーリング・試験のそれぞれについて「何を、いつ、どこで」が書かれているかを探すと、学校ごとの違いが見えやすくなります。

卒業に要るのは3年・74単位・特別活動

通信制高校を卒業するには、3年以上在籍すること、必履修科目を含めて74単位以上を修得すること、特別活動に参加することが要ります。そのうえで、全課程の修了を認めるのは在籍する高校の校長です。単位の修得を認定するのは在籍する高校で、卒業を認めるかどうかは校長が判断します。

通信制の課程の修業年限は、学校教育法の第56条で3年以上と決まっています。全日制は3年ですが、通信制と定時制は「以上」が付いていて、3年を超えて在籍して卒業する道も最初から想定されています。学校教育法施行規則の第96条は、校長が全課程の修了を認めるには74単位以上の修得が要ると定めています。加えて学習指導要領は、ホームルーム活動を含む特別活動を、生徒ごとに卒業までに30単位時間以上指導することとしています。

出典:学校教育法施行規則 第96条(e-Gov法令検索)/高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章総則

卒業までに通る4つの段
  1. 13年以上在籍する修業年限は3年以上
  2. 274単位以上を修得するレポート・スクーリング・試験で
  3. 3特別活動に参加する卒業までに30単位時間以上
  4. 4校長が卒業を認める在籍する高校の校長

学校教育法施行規則の第103条は、高校が学年による教育課程の区分を設けないことができると定めていて、この「単位制」の形では、学年ごとの課程の修了ではなく、修得した単位を積み上げて卒業に向かいます。第96条は74単位以上を修得した者にしか全課程の修了を認めないので、単位が足りなければ、卒業が認められる時期が後ろにずれることになります。学年による区分を設けているか、進級や留年、単位が足りなかった年の扱いがどうなるかは学校によって違うので、学校案内や募集要項で確かめます。

修業年限は3年以上なので、3年を超えて在籍して74単位に届く計画も、制度の上では想定されています。ただし就学支援金の支給期間は、通信制で原則48か月までです。在籍が長くなる見込みがあるときは、何年目の授業料が家の負担になりうるかを入学前に聞いておきます。

卒業の要件を見るときは、「何年で」より「1年に何単位を取る計画か」で考えると現実的です。学校案内に1年の標準的な登録単位数や、単位が足りなかった年の扱いが書かれていなければ、説明会でその2つを聞いてください。

通信制高校の登校日数が学校で違うわけ

カーテンの揺れる窓辺

通信制高校の登校の日数が学校ごとに違うのは、面接指導(スクーリング)に必要な時間の標準を学習指導要領が科目ごとに決めたうえで、メディアを使った学習を取り入れた学校には、その時間を決まった割合まで免除することを認めているからです。どれだけ取り入れているか、1回の面接指導を何分にしているかで、登校の日数が変わります。

学習指導要領は、1単位あたりの添削指導の回数と面接指導の時間を、教科ごとに次の表のように示しています(理数に属する科目・総合的な探究の時間・学校設定教科のうち専門教科以外のものは表になく、1単位につき1回以上・1単位時間以上を確保して学校が定めます)。面接指導の時間は、1単位時間を50分として計算します。ただし、面接指導の1回をどれだけの長さで行うかは、各学校が決めます。

教科 添削指導(1単位につき) 面接指導(1単位につき)
国語・地理歴史・公民・数学 3回 1単位時間
理科 3回 4単位時間
保健体育のうち体育 1回 5単位時間
保健体育のうち保健 3回 1単位時間
芸術・外国語 3回 4単位時間
家庭・情報・専門教科 必要に応じて2〜3回 必要に応じて2〜8単位時間

出典:高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章総則 第2款5

そのうえで学習指導要領は、計画的・継続的に多様なメディアを利用した学習を取り入れ、報告課題の作成などで成果が満足できると認められるときに、面接指導等の時間数のうち10分の6以内を免除できるとしています。特に必要がある場合は、メディアごとにそれぞれ10分の6以内を免除できますが、免除する時間数は合わせて10分の8を超えられません。同じ項目には、学習の量と質を下げないよう十分に配慮することも書かれています。

登校の日数は、免除をどれだけ使うかで変わる
標準どおり面接指導を受ける学校

  • 科目ごとの標準の単位時間を学校で受ける
  • 1回の長さは学校が決める
メディアを使った学習を取り入れる学校

  • 10分の6以内を免除できる
  • 複数のメディアでも合わせて10分の8まで

都立の通信制の例では、スクーリングは年間約20〜24日で原則として土曜日、「通信制高校WEB学習」を使って登校を年5日程度にする取組もある、と入学案内に書かれています。同じ公立の通信制のなかでも、登校の日数がここまで変わる形がある、という例として読めます。

たとえば、学校案内に「登校は年に数日」と書かれている学校は、メディアを使った学習で面接指導の時間を大きく免除している可能性があります。その場合、登校が少ない代わりに、映像の講座の視聴や報告課題を計画的に続けることが前提になります。「週に何日も通う」と書かれている学校では、その日数が卒業に必要なスクーリングなのか、希望して通う別のコースなのかを分けて確かめます。

登校の日数は、学校の宣伝の言葉として読むより、「標準の時間のうち、どれだけをメディアで免除しているか」の結果として読むと比べられます。学校には「卒業に必要なスクーリングは年に何日で、1回は何分か」「免除のために家で何をする必要があるか」の2つを聞くと、通う日と家でやることが一緒に見えます。

公立と私立、広域、サポート校の位置

通信制高校は、設置者で公立と私立に、生徒を受け入れる範囲で広域かどうかに分かれます。サポート校は、そのどれにも当たらない、高校の外の施設です。この3つの区別で、通う場所と費用のかかり方が変わります。

公立の通信制は都道府県などが置く高校で、応募資格にその都道府県に住んでいるか勤めていることを求める例があります。都立の通信制は、都内に住所か勤務先があること(入学日までに確実な人を含む)と、スクーリングに出席できることが条件です。学校教育法の第54条は、高校のある都道府県のほかに全国の他の都道府県に住む人もあわせて生徒とする通信制の課程などを「広域の通信制の課程」と呼んでいます。

区別 何で決まるか 通う場所と費用への影響
公立か私立か 高校を置いているのが誰か 授業料の決まり方が違う
広域かどうか どの都道府県に住む生徒を受け入れるか スクーリングと試験の場所は、学校の案内で確かめる
サポート校 高校ではない施設(学校教育法の学校に入らない) 費用は高校の授業料とは別にかかる

出典:東京都教育委員会「令和8年度 東京都立高等学校 定時制課程・通信制課程 入学案内」

サポート校は、通信制高校に在籍する生徒の学習や生活を支える施設で、学校教育法の第1条の学校ではありません。単位を認め、卒業を認めるのは、あくまで在籍する通信制高校です。通信制高校が学則に定めて連携する「学習等支援施設」という形もありますが、いわゆるサポート校がすべてこれに当たるとは限りません。

たとえば、家の近くに通信制高校の「キャンパス」と書かれた場所があっても、それが本校なのか、高校が連携する施設なのか、サポート校なのかで、そこで受けられるものが違います。学校案内では、在籍する高校の名前と所在地、スクーリングと試験を受ける場所を、まず見つけてください。

ここは深掘りせず、位置だけ押さえておけば十分です。公立の通信制の学費と出願は公立の通信制高校はいくらでどう入る?に、サポート校が高校とどう違うかはサポート校とは何?にまとめています。

通信制高校の学費は授業料とそれ以外に分かれる

通信制高校の学費は、単位や月ごとにかかる「授業料」と、入学金・教材費・施設費などの「それ以外の費用」に分かれます。国の就学支援金が出るのは授業料だけです。「1年でいくらか」は、この2つを学校の資料で分けて書き出さないと分かりません。

授業料に支援金が出るのは、高校の授業料を国が支える仕組みだからです。令和8年度から所得制限は撤廃され、保護者の収入にかかわらず支給されます。私立の通信制では、支援金の上限が年額33万7,200円(月額2万8,100円)で、単位ごとに授業料を決めている学校では1単位13,668円・年間30単位・通算74単位までが上限です。公立の通信制では、授業料に相当する額(月額520円、または1単位336円)が支給されます。

費用の種類 支援の仕組み 書いてあるところ
授業料(私立) 就学支援金。上限は年額33万7,200円・1単位13,668円 学校の費用の資料
授業料(公立) 就学支援金。授業料に相当する額(月額520円か1単位336円) 都道府県の入学案内
教科書代・学用品費など 高校生等奨学給付金という別の制度(返還不要・対象は都道府県の案内で確かめる) 都道府県の案内
入学金・施設費・コースの費用 就学支援金の対象ではない 学校の費用の資料
サポート校の費用 就学支援金の対象ではない サポート校の資料

出典:文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度における支給限度額」/文部科学省「高等学校等就学支援金に関するQ&A」

都道府県によっては、国の支援金に独自の支援を上乗せしているところがあります。

※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。

たとえば、私立の通信制で1年に30単位を登録する計画なら、まず学校の資料で1単位あたりの授業料を確かめ、支援金の上限との差があるかを見ます。そのうえで、入学金や教材費、スクーリングに通う交通費を別の行に書きます。同じ学校でも、通学のコースを足すかどうかで「それ以外の費用」の行が大きく変わります。

学費は相場で考えるより、「授業料の行」と「それ以外の行」を分けて、候補の学校ごとに埋めていくのが確かです。自分の家の条件で全体を並べてみたいときは、学費シミュレーターも使えます。

入り方は入学・転入学・編入学の3つ

通信制高校への入り方は、中学校を卒業して入る「入学」、ほかの高校に在籍したまま移る「転入学」、高校をいったん離れた人が途中の学年に入る「編入学」の3つです。どれで入るかで、手続きの窓口と時期が変わります。

転入学について、学校教育法施行規則の第92条は、転学を希望する生徒がいるときは在籍校の校長が書類を転学先の校長に送り、転学先の校長が教育上支障がない場合に転学を許可できる、と定めています。全日制・定時制・通信制の課程のあいだの転学では、修得した単位に応じて相当学年に転入できます。編入学については、第91条が、相当の年齢に達し、その学年に在学する人と同等以上の学力があると認められた人を、第1学年の途中や第2学年以上に入学させられると定めています。前の高校で取った単位をどう扱うかは、この条文には書かれていないので、志望する学校に確かめます。

出典:学校教育法施行規則 第91条(e-Gov法令検索)/学校教育法施行規則 第92条(e-Gov法令検索)/学校教育法施行規則 第104条(e-Gov法令検索)

入り方 どんな人か 先に動く窓口
入学 中学校を卒業する人・卒業した人 中学校の先生と志望校
転入学 いまほかの高校に在籍している人 在籍している高校と志望校
編入学 高校を離れたあとに入り直す人 志望校(都立の例では単位修得証明書などの提出が要ります)

学年の途中に、学期の区分に従って入れるかどうかも、学校で違います。第104条第3項は、特別の必要があり教育上支障がないときに、校長が学年の途中でも学期の区分に従って入学(編入学を除く)を許可し、卒業を認めることができると定めています。「できる」という規定なので、どの学校でも学期ごとに入れるわけではありません。都立の通信制の例では、転学の募集が年3回(3月・8月・12月)、編入学の募集が年1回(3月。高校で1年相当以上の単位を修得して退学した人が対象)です。

※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。

たとえば、高校1年生の途中で全日制から通信制に移る場合は、いまの学校に籍があるうちに転入学の手続きを進めます。規則第92条には、課程のあいだの転学は修得した単位に応じて相当学年に転入できると書かれていますが、許可するかどうかは転学先の校長が教育上支障がないかで判断し、修得した単位をどう数えるかも志望校に確かめます。中学3年生で4月の入学を考えている場合は、出願の時期が都道府県や学校で違うので、入学案内や募集要項で日程を確かめて動き始めます。中学のうちの順番と締切は、中3で不登校、高校受験は間に合う?にまとめています。

入り方で迷ったら、「いま、どこかの高校に籍があるか」を最初に確かめてください。籍があれば転入学、無ければ入学か編入学で、そこから先に話すべき窓口が決まります。

向いているかは仕組みの項目で確かめる

通信制高校が子に向いているかは、性格の向き不向きで決めるより、レポート・スクーリング・試験・費用という仕組みの項目を、子のいまの生活に1つずつ当てはめて確かめるほうが確かです。項目ごとに「家でできそうか」「学校に聞かないと分からないか」に分けると、決める材料がそろいます。

性格で考えると、「自分で計画を立てられる子が向く」のような一般論で止まってしまいます。同じ子でも、レポートの出し方がオンラインか郵送か、スクーリングの場所が家から近いか遠いかで、続けやすさは入れ替わります。項目が学校ごとに違う以上、確かめる相手も学校の書面になります。

仕組みの項目 家で確かめること 学校に書面で確かめること
レポート 週にどれくらいの時間、机に向かえそうか 1年に出す数・締切・出し方・質問のしかた
スクーリング 決まった曜日に家を出られそうか・通える距離か 年の日数・曜日・場所・1回の長さ
試験 決まった日に会場へ行けそうか 時期・回数・場所・受けられなかったときの扱い
単位の計画 1年に何単位なら続けられそうか 標準の登録単位数・単位が足りない年の扱い
費用 家が何年分を払い続けられるか 授業料とそれ以外の内訳・在籍が延びたときの授業料

レポートが出せない時期が続いたときにどうなるかは、入学してから知るより、入学前に聞いておくほうが落ち着いて決められます。締切に遅れたとき、体調の波で何か月か進められなかったとき、その科目の単位や翌年度の登録がどうなるかを、学校に書面で確かめます。学習や登校に配慮が要ることがあれば、どんな配慮ができるかも同じように書面で聞いておきます。子の心や体の調子についての相談は、この記事では扱いません。学校医・小児科・スクールカウンセラーへ相談してください。

学校の説明会や個別相談では、次のように聞けます。

志望する通信制高校に聞くこと

「レポートの締切に遅れた場合や、何か月か出せない時期があった場合、その科目の単位と翌年度の登録はどうなりますか。決まりが書かれた資料があればいただけますか。」

「卒業に必要なスクーリングは年に何日で、1回は何分ですか。映像の講座などで免除を受けるには、家で何をする必要がありますか。」

いま在籍している学校に聞くこと(転入学を考えている場合)

「通信制高校への転学を考えています。これまでに修得した単位を確かめられる書類をお願いできますか。」

聞いた答えは、日付と相手の名前と一緒に表のマスに書き込みます。単位を認定し卒業を認めるのは在籍する高校なので、単位の話は志望する高校の答えを基準にします。

学校案内と資料で確かめる

ここまでの項目を埋める材料は、学校案内・募集要項・費用の資料にあります。公立の通信制は都道府県の教育委員会の入学案内で多くが無料で分かり、私立の通信制はスクーリングの日数も費用も学校ごとの資料にしか載っていません。まず無料で手に入るものから集めます。

資料・窓口 費用 確かめられること
都道府県の教育委員会の入学案内(公立の定時制・通信制) 無料 公立の通信制の学校名・応募資格・出願と転編入の時期
公立の通信制の学校案内 学校に確認 スクーリングの日数と場所・レポートの数・試験の時期
在籍している中学校・高校の先生 無料 出願の手続き・修得した単位・必要な書類
私立の通信制の学校案内・費用の資料 学校に確認 スクーリングの日数と場所・レポートの出し方・授業料とそれ以外の費用

資料が届いたら、1校につき1枚の紙に「スクーリングの日数と場所」「1年に出すレポートの数」「試験の時期と場所」「授業料とそれ以外の費用」の4つを書き写します。書面に見当たらない項目は、説明会で聞く質問になります。

※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

公立の通信制は、上の表の入学案内と学校案内で、スクーリングの日数や費用を無料で確かめられます。私立の通信制はスクーリングの日数も費用も学校ごとに違い、一校ずつ問い合わせるのは手間がかかります。いくつかの学校の案内を一度に取り寄せられる無料のサービスもあり、届いた案内からスクーリングの日数と場所、1年に出すレポートの数を書き写して並べられます。

通信制高校の資料をまとめて請求する

学校選びの前に無料で話せる窓口

通信制高校のことは、学校や資料請求サービスのほかに、無料の公的な窓口でも相談できます。親からでも、子ども本人からでも話せる窓口があります。

家の電話
  • 都道府県の教育委員会(高校の入試・転編入の担当):公立の通信制の応募資格・出願の時期・転入学と編入学
  • 在籍している中学校・高校の先生:出願の手続き・修得した単位・必要な書類
  • 志望する通信制高校:スクーリングとレポートの形・単位の計画・費用の内訳
  • 教育支援センター(適応指導教室):自治体の教育委員会が置いている学びの場。利用は無料(設置状況・名称は自治体で違います)
  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(文部科学省。24時間)
  • 子どもの人権110番:0120-007-110(法務省。無料。子どものことで悩む大人もかけられる)
  • 児童相談所相談専用ダイヤル:0120-189-783(こども家庭庁。無料)

制度や出願のことなら都道府県の教育委員会、単位や書類のことなら在籍校、学び方や費用のことなら志望校、と分けると、どこに何を聞けばいいかが決まります。夜や休みの日に、いま誰かに話したいときは24時間子供SOSダイヤルがあります。中学校の欠席と高校受験の全体の流れは不登校からの高校受験、高校に在籍しない道は高卒認定試験とは、日中の学びの場はフリースクールとは、通信制高校を比べる手順は通信制高校の選び方にまとめています。

出典:文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」/法務省「子どもの人権110番」/こども家庭庁「関連サービスの相談窓口」

窓口の一覧は相談できるところにもまとめています。


よくある質問

通信制高校の学費は1年でいくらですか?

学校ごとに違うので、一つの金額では言えません。1年の学費は、授業料(私立なら就学支援金の上限は年額33万7,200円、単位ごとに授業料を決めている学校では1単位13,668円・年間30単位まで)と、入学金・教材費・施設費・交通費などのそれ以外の費用を足したものです。候補の学校の費用の資料で2つの行を分けて書き出すと、その学校の1年分が分かります。

通信制高校の落とし穴は何ですか?

「落とし穴」と言われる話の多くは、入学前に確かめずに決めた項目です。たとえば、スクーリングの場所が遠かった、レポートの量が思っていたより多かった、コースの費用が支援金の対象ではなかった、などです。どれも学校案内や費用の資料で入学前に確かめられるので、項目ごとに書面で埋めてから決めてください。

通信制高校はどんな人が行くのですか?

制度の上では、中学校を卒業した人か、それと同等以上の学力があると認められた人が入学でき、条文は全日制・定時制・通信制で分けて書かれていません。高校の途中から転入学する人、いったん高校を離れてから編入学する人もいます。どの学校に応募できるかは、学校ごとの募集要項で確かめます。

通信制高校はやめた方がいいですか?

一律には決まりません。卒業すれば、学校教育法上は全日制・定時制と同じ高等学校の卒業で、大学の入学資格を定めた条文にも課程で区別する文言はありません。合うかどうかは、レポート・スクーリング・試験・費用の各項目を子の生活に当てはめて確かめ、続けられそうにない項目があれば、その学校の支えで補えるかを聞いて決めます。

オンライン授業だけで卒業できますか?

学習指導要領の上では、計画的・継続的にメディアを使った学習を取り入れ、報告課題の作成などで成果が満足できると認められたときに、面接指導の時間を10分の6以内まで免除できます。特に必要がある場合に複数のメディアを使うときも、免除は合わせて10分の8までなので、面接指導の時間がすべて免除されるわけではありません。試験は、この免除の対象として書かれていません。何日、どこへ行く必要があるかは、学校ごとの案内で確かめてください。

通信制高校から大学に行けますか?

学校教育法の第90条は、大学に入学できる人として「高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者」などを挙げていて、課程で区別する文言はありません。進学したい場合は、受験に必要な科目を選べるか、進路の相談を誰がどこで受けてくれるかを学校に聞きます。学校が示す進学の数字は、何年度の、どのコースの、何人のうちの数字かを確かめて読んでください。

出典:学校教育法 第90条(e-Gov法令検索)

今日できることは1つ、気になる通信制高校の学校案内(公立なら都道府県の入学案内)を開き、「スクーリングの日数と場所」と「1年に出すレポートの数」の2つを探して書き写すことです。書かれていなければ、それが学校に最初に聞くことになります。

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この記事を書いた人

不登校のしおり編集部です。不登校にまつわる学校の制度と手続きについて、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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