- 通信制高校がたくさんありすぎて、何で比べればいいのか分からない
- 「おすすめ」や順位をつけた一覧のサイトは、信じていいの?
- 口コミや評判は、どこまで参考になる?
- 公立と私立、どちらから見ればいい?家から遠い学校でも入れる?
- 登校は年に何日くらい?うちの子に通える?
- 学費は結局いくら?就学支援金でどこまで減る?
- 卒業できるのか、その先の進路まで支えてもらえるのか心配
- 子どもがなかなか決められない。どの順番で決めていけばいい?
上記のような悩みに答えます。
文部科学省の調査では、小中学校の不登校は35万4千人(令和6年度)でした。高校でも約6万8千人(同じ年度)が不登校で、学校に行けない時期があった子の進路として通信制高校を調べる家は少なくありません。検索すると、おすすめや順位をつけた一覧が多く出てきます。そこで、順位をつけずに確かめる項目を並べ、公立の通信制も同じ表に入れて比べる形で、高卒の資格がどの通信制高校でも同じである理由と、比べるべき5つの項目を押さえたうえで、法律でいう「広域の通信制の課程」の意味、就学支援金が出るのは授業料だけという線引き、文部科学省のガイドラインが学校に求めている説明を「選ぶときの物差し」として使う方法まで、学校教育法などの条文と文部科学省の資料の原文で確かめながら整理しました。
高卒の資格は、どの通信制高校を卒業しても同じです(3年以上在籍し、74単位以上を修得して、在籍する高校の校長が卒業を認めます)。学校ごとに違うのは「公立か私立か」「どこから生徒を受け入れるか(広域かどうか)」「登校の日数と場所」「費用(就学支援金の対象は授業料だけ)」「卒業と進路までの支え」の5つです。この5つを同じ表に並べ、公立の通信制も1校は列に入れて比べると、順位の一覧に頼らずに選べます。口コミや説明会の話は「いつ・どのコースの・誰の話か」として読み、最後は募集要項・学則・費用の内訳という書面で確かめます。
2026年10月時点の制度で確かめています
出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
高卒の資格はどの通信制高校でも同じ

通信制高校を選ぶときに、最初に置いておきたい事実があります。卒業して得られる高卒の資格は、公立でも私立でも、広域でもそうでなくても、どの通信制高校でも同じです。学校ごとに違うのは、卒業までの通い方と支えと費用であって、資格の重さではありません。
そう言える理由は、法律の決め方にあります。通信制高校は学校教育法の第1条でいう「高等学校」で、全日制や定時制と同じ種類の学校です。通信制の課程の修業年限は3年以上と決まっていて(学校教育法第56条)、学校教育法施行規則の第96条は、校長が全課程の修了を認めるには74単位以上の修得が要ると定めています。卒業を認めるのは、子が在籍している高校の校長です(卒業を認めるかどうかは校長の判断です)。学校ごとに違うのは、必ず履修する科目の組み方など、この枠の中の部分です。
出典:学校教育法 第1条(e-Gov法令検索)/学校教育法施行規則 第96条(e-Gov法令検索)
| どの通信制高校でも同じ | 学校ごとに違う | |
|---|---|---|
| 学校の種類 | 学校教育法の「高等学校」 | 公立か私立か |
| 卒業の条件 | 3年以上在籍・74単位以上・在籍校の校長が認める | 必ず履修する科目の組み方・特別活動の扱い |
| 得られる資格 | 高等学校の卒業 | なし(資格の中身は同じ) |
| 単位の取り方 | レポート・スクーリング・試験 | 登校の日数と場所・レポートの数 |
| 費用 | 授業料に就学支援金が出る | 授業料の額・それ以外の費用・コースの費用 |
東京都の公立の通信制の入学案内にも、全日制課程との卒業資格等の違いはない、と書かれています。細かい内容は学校ごとに少し違うので、各校に確かめるように、とも添えられています。
たとえば、ある私立の広域の通信制と、住んでいる都道府県の公立の通信制で迷っている場合、「どちらの卒業のほうが価値があるか」を比べる必要はありません。比べるのは、子がどちらなら卒業までの単位を取り続けられそうか、そのために家がどれだけの費用と送り迎えを負担できるか、です。
「3年で卒業できなかったら」という心配については、修業年限は「3年以上」なので、4年目以降に単位を取りきって卒業する道もあります。ただし就学支援金の支給期間は通信制で原則48か月までで、それを超えた分の授業料は原則として家の負担になります。転学や中退後の再入学の場合は、支給月数や学び直し支援の扱いが変わるので、学校か都道府県に確かめてください。都立の通信制でも、在学が48か月を超えた人(休学・留学・傷病の療養による場合を除く)は受講料の徴収の対象になると書かれています。何年で卒業する計画を立てやすい学校かは、学び方の項目で確かめます。
迷ったときの軸は、「資格は同じ。違うのは道のり」です。この前提に立つと、学校名の知名度や広告の大きさではなく、子が卒業まで歩ける道のりかどうかで選べるようになります。
出典:東京都教育委員会「令和8年度 東京都立高等学校 定時制課程・通信制課程 入学案内」/東京都教育委員会「都立高等学校等の授業料・入学料について」
通信制高校で比べるのは5つの項目
通信制高校は、5つの項目を同じ表に並べると比べられます。「設置者(公立か私立か)」「どこから生徒を受け入れるか(広域かどうか)」「学び方(登校の日数と場所)」「費用(授業料とそれ以外)」「卒業と進路までの支え」です。
この5つにする理由は、どれも法令や国の制度で決まる部分と、学校が決める部分の境目に当たるからです。設置者で授業料の決まり方が、広域かどうかで受け入れる生徒の住所が変わり、費用は就学支援金の対象かどうかで家の負担が分かれます。境目がはっきりしている項目なので、学校の説明を同じ物差しで読めます。
| 項目 | 見るところ | 書いてある書面 |
|---|---|---|
| 設置者 | 公立か私立か・授業料の決まり方 | 募集要項・都道府県の入学案内 |
| 受け入れる範囲 | 広域かどうか・応募資格の住所の条件 | 募集要項・学校案内 |
| 学び方 | スクーリングの日数と場所・レポートの数・試験の場所 | 通信教育実施計画・学校案内 |
| 費用 | 授業料と支援金・それ以外の費用・コースやサポート校の費用 | 費用の内訳・学則 |
| 卒業と進路までの支え | 学習相談・担任・進路指導・転学の受け入れ | 学校案内・説明会での回答 |
- 1設置者を確かめる公立か私立か
- 2受け入れる範囲を確かめる広域かどうか・住所の条件
- 3学び方を確かめる登校の日数と場所
- 4費用を分けて書く授業料とそれ以外
- 5支えを聞く卒業と進路まで
順番にも意味があります。設置者と受け入れる範囲で「出願できる学校」が、学び方で「子が通える学校」が、費用で「家が払い続けられる学校」が絞られ、残った学校どうしを支えの中身で比べます。順番に絞るのは、通えない学校を候補に残さないためです。
たとえば、中学3年生で4月の入学を考えている場合は、秋のうちに公立の通信制を1校、私立の通信制を2校ほど選んで、5つの項目の行を埋めていきます。高校1年生で在籍校からの転学を考えている場合は、この5つに「いまの学校で修得した単位を引き継げるか」「転学の募集はいつか」という行を足します。
表を作るときは、候補の学校を列に、5つの項目を行に置きます。空いたマスが、資料で探すことか、説明会で聞くことになります。マスが埋まった学校どうしなら、あとは見学で通い方を確かめて決めます。
公立か私立か、広域かどうか
5つの項目のうち、最初の2つは出願できる学校の範囲を決めます。公立か私立かで授業料の決まり方が変わり、広域の通信制かどうかで、どの都道府県に住む生徒を受け入れるかが変わります。
まず設置者です。授業料の決まり方は設置者によって違います。東京都の公立の通信制の例では、受講料が支援金と同じ額なので、受給が認定されれば無料になります。私立の通信制の支援金は最大で年額33万7,200円(単位制の学校は最大で1単位13,668円・年間30単位・通算74単位まで)です。授業料がその上限を超える学校では、差額が家の負担になります。
次に、広域かどうかです。学校教育法の第54条は、通信制の課程のうち、高校がある都道府県のほかに全国の他の都道府県に住む人もあわせて生徒とするもの(そのほか政令で定めるもの)を、「広域の通信制の課程」と呼んでいます。
当該高等学校の所在する都道府県の区域内に住所を有する者のほか、全国的に他の都道府県の区域内に住所を有する者を併せて生徒とするものその他政令で定めるもの(以下この項において「広域の通信制の課程」という。)
広域でない通信制は一般に「狭域」と呼ばれますが、これは法令の語ではありません。公立の通信制には、その都道府県に住んでいるか勤めていることを応募資格にしている例があります。たとえば都立の通信制は、都内に住所か勤務先があること(入学日までに確実な人を含む)と、スクーリングに出席できることが条件です。
| 公立の通信制 | 私立の通信制 | |
|---|---|---|
| 授業料の決まり方 | 設置者による(東京都の例は1単位336円で支援金と同じ額) | 設置者による(学校の資料で確認) |
| 支援金(定額の場合) | 月額520円(授業料相当額) | 最大で月額2万8,100円 |
| 支援金(単位制の場合) | 1単位336円 | 最大で1単位13,668円 |
| 受け入れる範囲 | 応募資格は都道府県の入学案内で確認(都立は都内に住所か勤務先) | 広域の学校と、広域でない学校がある |
| スクーリングの場所 | 入学案内・学校案内で確認 | 本校のほか、面接指導等実施施設を置く学校もある |
出典:文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度における支給限度額」/東京都教育委員会「令和8年度 東京都立高等学校 定時制課程・通信制課程 入学案内」
- 全国から生徒を受け入れる
- 本校と、実際に通う場所が違うことがある
- 高校がある都道府県の生徒が中心
- 通う場所は本校が中心
広域の学校で気をつけたいのは、本校と、子が実際に通う場所が違うことがある点です。スクーリングや試験を行う「面接指導等実施施設」は分校や協力校が基本とされ、ほかに相談や学習の支えをする「学習等支援施設」もあります。本校と家の近くの拠点で受けられる支えは同じとは限らないので、学校案内の説明がどの拠点のものかを確かめます。
たとえば、家の近くに私立の広域の通信制の拠点があり、本校は遠くの県にある場合は、「スクーリングと試験はどこで受けるのか」「本校に行く日は年に何日か」を聞きます。公立の通信制が家から通える場所にある場合は、応募資格と出願の時期を都道府県の入学案内で先に確かめます。公立の通信制の学費と入り方は、公立の通信制高校はいくらでどう入る?にまとめています。
※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。
公立か私立かは「どちらが上か」ではなく、費用の決まり方と通う場所の違いです。比べる表には、私立だけで列を埋めず、公立の通信制も1校入れておくと、私立の費用や支えを「公立と比べて何が足されているか」で読めるようになります。
登校の日数と場所で選ぶ
通信制高校の学び方は、レポート(添削指導)・スクーリング(面接指導)・試験の3つが柱です。学校ごとに違うのは、スクーリングの日数と場所、レポートの数と出し方、そして正規の教育課程とは別の「通学コース」があるかどうかです。
登校の日数を最初に確かめるのは、子が卒業までの単位を取り続けられるかに直結するからです。登校が少なければ通いやすい一方で、レポートの締切を自分で管理する負担が増えます。登校が多ければ人と会う機会が増える一方で、決まった日に家を出られるかが問われます。どちらが合うかは子によって違います。
東京都の公立の通信制の例で、学び方の量を見ておきます。
| 学び方 | 都立の通信制の例 |
|---|---|
| レポート | 30単位を登録した場合、年間約82〜86通を学校に送り、添削を受ける |
| スクーリング | 年間約20〜24日登校。原則として土曜日 |
| WEB学習 | 映像の講座などで、スクーリングのための登校を年5日程度にする取組がある |
| 試験 | 前期・後期の単位認定試験に合格する |
出典:東京都教育委員会「令和8年度 東京都立高等学校 定時制課程・通信制課程 入学案内」
私立の通信制では、週に何日か、あるいは毎日通う「通学コース」を案内されることがあります。文部科学省のガイドラインは、高校として行う通信教育と、正規の教育課程ではない通学コースを、はっきり区別して書くよう学校に求めています。つまり、通学コースに通う日数は、卒業に必要なスクーリングの日数とは別のものです。学校案内で「週◯日通学」と書かれていたら、それが卒業に必要な登校なのか、希望して通うコースなのかを分けて読みます。
出典:文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(平成28年9月策定・令和5年2月一部改訂)
たとえば、スクーリングの日数が少なく、映像の講座やオンラインで進められる学校を探す場合は、その条件に合う学校を候補にします。そのときは、レポートで分からないところを誰にどうやって質問できるかを、あわせて聞いておきます。反対に、平日に通う場所がほしい場合は、通学コースや、学校が連携する学習等支援施設を検討することになります。サポート校と呼ばれる施設が高校とどう違うかは、サポート校とは何?にまとめています。
日中の居場所としてフリースクールを並べる場合は、フリースクールとはも参考にしてください。
登校の形で迷ったときは、「卒業に必要な登校は年に何日で、どこで受けるのか」と「希望して通う日は週に何日で、いくらかかるのか」を、別々の行に書くのが確かです。2つを混ぜたまま比べると、通いやすさと費用の両方を読み違えます。
通信制高校の学費は授業料と分けて見る
通信制高校の学費は、「授業料」と「それ以外の費用」に分けて見ます。就学支援金は高校の授業料に充てる国の制度で、入学金や教材費、通学コースやサポート校の費用には使えないからです。
令和8年4月から就学支援金の所得制限は撤廃され、保護者の収入にかかわらず支給されるようになりました。支援金は学校の設置者が生徒に代わって受け取り、授業料に充てます。授業料が支援金より高い学校では、その差額を家が払います。支給は原則として申し込んだ月からなので、入学説明会や入学後に学校から配られる申請書を早めに出しておくことも、学費のうちの大事な手続きです。
授業料以外の教科書代や学用品費などは、返還の要らない「高校生等奨学給付金」という別の制度で支援されます。一方で、文部科学省のQ&Aは、サポート校(サポート施設)は就学支援金の対象ではないと書いています。
| 費用の欄 | 就学支援金 | 家の負担になる部分 |
|---|---|---|
| 通信制高校の授業料(公立) | 授業料相当額(月額520円か1単位336円) | 東京都の例では受給の認定で無料(ほかは入学案内で確認) |
| 通信制高校の授業料(私立) | 最大で月額2万8,100円(単位制は1単位13,668円) | 上限を超えた分 |
| 入学金・教材費・施設費など | 対象ではない(教科書代などは奨学給付金の制度) | 学校の資料で確かめる |
| 通学コース・サポート校の費用 | 対象ではない | 全額 |
| スクーリングに通う交通費 | 対象ではない | 通う日数と距離で変わる |
出典:文部科学省「高等学校等就学支援金に関するQ&A」/文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度における支給限度額」
文部科学省のガイドラインは、就学支援金を学校独自の特典のように表示しないこと、授業料と施設の独自の活動の費用を区別して説明することを、学校に求めています。「支援金で授業料が実質ゼロ」と書かれていても、それはどの学校でも申請できる国の制度で、別の欄のコースやサポート校の費用は下がりません。
都道府県によっては、国の支援金に上乗せして独自の授業料の支援をしているところがあります。要件は制度ごとに違うので、お住まいの都道府県(または学校がある都道府県)に確かめてください。
※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。
たとえば、私立の通信制で通学コースを週に何日か使う形を考えている場合は、「授業料から支援金を引いた残り」「入学金や教材費」「通学コースの費用」「交通費」を、1年ごとに別々の行で書き出します。合計の金額だけで比べると、公立の通信制と並べたときに、どの欄で差がついているのかが見えません。学費の全体を並べて考えたい場合は、学費シミュレーターも使えます。
費用の比べ方で迷ったら、「支援金で下がるのは授業料の行だけ」と覚えておくと、どの学校の案内も同じ形で読み直せます。
卒業と進路までの支えを確かめる
最後の項目が、卒業と進路までの支えです。通信制高校は家庭学習が中心になるので、レポートの進め方の相談、担任や先生と話せる時間、進路の相談がどれだけ用意されているかで、同じ74単位でも取りやすさが変わります。
この項目を確かめるときの物差しになるのが、文部科学省のガイドラインです。ガイドラインは、教育支援や生徒指導、進路指導は、通学コースを受けているかどうかにかかわらず、学校として在籍する全ての生徒に当然に行うべきものだとしています。また、添削指導や成績評価、単位認定にかかわる業務は、高校の身分を持つ教職員が責任を持って行うよう求めています。つまり、学習の相談や進路の相談は、まず高校そのものに求められるもので、追加の費用を払ったコースの生徒だけが受けられるものではない、というのが国の考え方です。
| 確かめること | 学校への聞き方の例 |
|---|---|
| 学習の相談 | コースを使わない生徒は、いつ・どうやって質問できるか |
| 担任・先生との連絡 | 担任はいるか、連絡の方法と頻度はどうか |
| 進路の相談 | 大学や専門学校、就職の相談を誰がどこで受けるか |
| 卒業までの計画 | 単位が取りきれなかった年はどうなるか、何年まで在籍できるか |
| 配慮のお願い | 学習や登校で配慮が要るとき、どんな対応ができるか |
出典:文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(平成28年9月策定・令和5年2月一部改訂)
学校が示す卒業や進学の数字は、そのまま比べずに、何年度の、どのコースの、何人のうちの数字なのかを確かめます。出し方が学校ごとにそろっていないので、数字の高い低いよりも「卒業までに高校が誰をどう支えるのか」の説明のほうが比べやすい材料になります。
発達障害などで、学習や登校の面で学校に配慮をお願いしたいことがある場合は、どんな配慮ができるかを学校に書面で聞いておきます。子の心や体の調子についての相談は、この記事では扱いません。学校医・小児科・スクールカウンセラーへ相談してください。
たとえば、大学への進学を考えている子なら、進路の相談を受けられる先生がいるか、受験に必要な科目を選べるかを聞きます。進路が決まっていない子なら、進路について先生と話せる機会がどれくらいあるかを聞くと、入学後の見通しが立ちます。
支えの比べ方の軸は、「追加の費用を払わなくても、高校が全員にしてくれること」です。それが分かれば、コースやサポート校に払う費用で何が足されるのかも、はっきり見えてきます。
通信制高校の順位と口コミの読み方
順位をつけた一覧や「おすすめ◯選」の並びは、何を基準に並べたかが書かれているかを確かめます。書かれていなければ、比べる表の材料にはなりません。口コミは役に立つ情報も含みますが、「いつ・どのコースの・誰の話か」が分かるものだけを、項目ごとの材料として読みます。
順位で比べられないのは、通信制高校の良し悪しが、子の住む場所や通える日数、家の予算によって入れ替わるからです。上位の学校でも、スクーリングの場所に通えなければ候補になりません。並び順は、比べる表の5つの項目を代わりに埋めてくれるわけではありません。なお、この記事の下のほうにある資料請求の枠も広告です。
文部科学省のガイドラインは、学校の生徒募集について、次のような勧誘をしないよう求めています。
通信教育連携協力施設が高等学校であると誤解させたり、通信教育連携協力施設の独自の活動等を受講することが高等学校を卒業するために必ず必要となるかのように説明したりするなど、不適切な勧誘等が行われないようにすること。
この一文は、口コミや順位の一覧を読むときにも使えます。「この施設に通えば卒業できる」「コースに入らないと卒業は難しい」といった書き方を見たら、高校の通信教育と、施設やコースの活動とを分けて読み直します。
| 口コミの書き方 | 分かること | 書面で確かめること |
|---|---|---|
| 「先生が親身だった」 | 書いた人の体験 | どの拠点・どのコースの話か、コースを使わない生徒の相談の形 |
| 「登校が少なくて楽」 | その人の登校の形 | 卒業に必要なスクーリングの日数と場所 |
| 「学費が思ったより高い」 | 費用の欄の読み違いの可能性 | 授業料とそれ以外・コースの費用の内訳 |
| 「卒業できなかった」 | その人の結果 | 単位が取りきれなかったときの在籍と計画 |
| 時期が分からない口コミ | 今と同じとは限らない | 今年度の募集要項と学則 |
「通信制高校を選んで後悔した」という話を読むときは、「どの項目を確かめずに決めたか」に読み替えます。たとえば、スクーリングの場所、コースの費用が就学支援金の対象かどうか、レポートの量は、どれも入学前に書面で確かめられる項目です。読み替えると、後悔の話が自分の表の行を埋める材料に変わります。
たとえば、良い口コミが多い学校と、口コミがほとんど見つからない公立の通信制で迷っている場合も、口コミの数で決める必要はありません。公立の通信制は、都道府県の入学案内(東京都の例では授業料・応募資格・日程・学び方が載っています)で確かめられる項目が多くあります。
口コミは、「この学校に何を聞けばいいか」を見つける道具として使うのが確かです。気になる口コミがあれば、それを説明会で聞く質問の形に変えて、学校の答えを書面で確かめます。
通信制高校の説明会と見学で聞くこと
候補の学校が2〜3校に絞れたら、説明会や個別相談、見学で、表の空いたマスを埋めていきます。卒業を認めるのは在籍する高校の校長なので、単位や卒業、費用の話は高校の答えを基準にし、答えはできるだけ募集要項や学則、費用の内訳といった書面でもらいます。
志望する通信制高校に聞くこと
「卒業に必要なスクーリングは年に何日で、どこで受けますか。試験はどこで受けますか。」
「通学コースやサポート校を使わずに在籍した場合、学習の相談ができる時間と方法を教えてください。」
「1年間の費用を、授業料と、それ以外の費用と、コースの費用に分けて書いた資料をいただけますか。」
いま在籍している学校に聞くこと
「通信制高校への転学を考えています。これまでに修得した単位と、就学支援金を受け取った月数を確かめたいです。」
説明会には、オンラインの形もあります。聞いた答えは、日付と相手の名前と一緒にメモしておきます。
比べる表を作って資料を集める

表のマスを埋める材料は、無料で手に入るものから集めます。公立の通信制の情報は、都道府県の教育委員会の入学案内と、各校の学校案内にまとまっています。私立の通信制の授業料やコースの費用は、学校ごとの資料にしか載っていません。
| 資料・窓口 | 費用 | 分かること |
|---|---|---|
| 都道府県の教育委員会の入学案内(東京都では「定時制課程・通信制課程 入学案内」) | 無料 | 公立の通信制の学校名・応募資格・出願の時期・授業料(内容は都道府県で違います) |
| 公立通信制の学校案内・通信教育実施計画 | 学校に確認 | スクーリングの日数・レポート・試験・教材費 |
| 在籍している学校の先生 | 無料 | 調査書・単位修得証明書・支援金の受給月数 |
| 私立通信制の資料 | 無料(請求) | 授業料・それ以外の費用・コースの費用・学習の支えの形 |
資料がそろったら、紙に「設置者」「受け入れる範囲」「登校の日数と場所」「費用(授業料とそれ以外)」「卒業と進路までの支え」の5つの行を書き、候補の学校を列に並べます。公立の通信制を1列入れておくと、私立の学校で上乗せされる費用と支えが同じ表で見えます。
※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
公立の通信制のことは、上の表のとおり都道府県の教育委員会の入学案内(無料)と各校の案内で確かめられます。私立の通信制の授業料やコースの費用は、学校ごとの資料にしか載っていません。複数校の資料をまとめて請求できる無料のサービスもあり、届いた資料は比べる表の5つの行に分けて書き写せます。
通信制高校を無料で相談できる窓口
通信制高校の選び方は、無料の公的な窓口でも相談できます。子ども本人からでも、親からでもかけられる窓口があります。

- 都道府県の教育委員会(高校の入試・転編入の担当):公立通信制の応募資格・出願の時期・転学と編入学の問い合わせ
- 志望する通信制高校:学び方・学習の支え・費用の内訳
- 在籍している中学校・高校の先生:調査書・単位・支援金の受給月数の相談
- 教育支援センター(適応指導教室):市区町村の教育委員会が置いている学びの場。利用は無料
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(文部科学省。24時間)
- 子どもの人権110番:0120-007-110(法務省。無料。子どものことで悩む大人もかけられる)
- 児童相談所相談専用ダイヤル:0120-189-783(こども家庭庁。無料)
迷うときは、公立の学校や出願の話なら都道府県の教育委員会、学び方や費用の話なら志望校、単位や支援金の話なら在籍校、夜や休みの日にいま誰かに話したいなら24時間子供SOSダイヤル、という分け方ができます。中学校の欠席と高校受験の全体の流れは不登校からの高校受験、高校に在籍しない道は高卒認定試験とはにまとめています。
出典:文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」/法務省「子どもの人権110番」/こども家庭庁「関連サービスの相談窓口」
窓口の一覧は相談できるところにもまとめています。
よくある質問
通信制高校を選んで後悔するのは、どんなときですか?
「後悔した」という話は、「どの項目を確かめずに決めたか」に読み替えて読みます。たとえば、スクーリングの場所、コースやサポート校の費用が就学支援金の対象かどうか、レポートの量は、どれも入学前に書面で確かめられる項目です。比べる表の5つの行を書面で埋めてから決めると、確かめ漏れを減らせます。
通信制高校をなかなか決められないのはなぜですか?
順位の一覧や口コミで候補が増える一方で、比べる物差しがそろっていないからです。公立か私立か、広域かどうか、登校の日数と場所、費用、支えの5つの行を先に決めると、候補が自然に絞れます。
通信制高校に不合格になることはありますか?
あります。公立の通信制は応募資格(住所の条件など)を満たす必要があり、都立の前期選抜のように国語・数学・英語の検査と調査書で選考する学校もあります。中学校の欠席が多かった場合の調査書の扱いは都道府県や学校で違うので、志望する学校と中学校の先生に確かめてください。
通信制高校の診断や比較サイトは使ってもいいですか?
候補の学校の名前を知るきっかけとしては使えます。ただし並び順や診断の結果は、比べる表の5つの項目を代わりに埋めるものではありません。気になった学校は、募集要項・通信教育実施計画・費用の内訳で同じ項目を確かめ、公立の通信制と並べて比べてください。
いつまでに決めればいいですか?
4月に入学したい場合は、出願の時期から逆算します。都立の通信制の令和8年度入試は、前期選抜の出願情報の入力が12月19日から、後期選抜の出願が4月1日・2日でした。ほかの道府県や私立は時期が違うので、秋のうちに資料を集め、各校の募集要項で出願の時期を確かめてください。
全日制から通信制に転学すると、支援金の月数はどうなりますか?
全日制で在学した月数に応じて、通信制で受け取れる月数が減ります。文部科学省のQ&Aの例では、全日制で20月在学した場合、通信制では48月−20月×4/3(端数切捨て)=22月です。転学を考えるときは、在籍校で受給した月数を確かめてから、転学先の学校に支給の見通しを聞いてください。
今日できることは1つ、紙に「設置者」「受け入れる範囲」「登校の日数と場所」「費用」「卒業と進路までの支え」の5つの行を書き、候補の学校を2〜3校と公立の通信制を1校、列に並べることです。空いたマスが、資料で探すことと説明会で聞くことになります。

