- 欠席が多くて内申が低い。公立高校はもう無理なの?
- 内申がいらない高校って、本当にある?
- 内申は何年生の分が、どのくらいの重さで使われるの?
- 評定がつかない(斜線になる)と言われた。入試ではどうなる?
- 定時制や通信制、私立は内申を見るの?
- 「内申31」「内申33」は低いの?偏差値でいうとどのくらい?
- 担任に何を聞けばいいのか分からない
- いつまでに志望校を決めればいい?
上記のような悩みに答えます。
文部科学省の調査では、小中学校の不登校は35万4千人(令和6年度)でした。欠席が続くと、中学校の評定(いわゆる内申)が低くなったり、つかなかったりすることがあります。それでも受けられる高校はあります。内申を何年生の分から、どの重さで使うかは都道府県の教育委員会が毎年出す選抜要項で決まっていて、学校ごとに重さを選べる県もあるからです。検索の上位は塾の記事が多く、内申の上げ方や当日の点での巻き返しが中心で、評定がつかない場合や長期欠席の扱いを詳しく書いた記事は多くありません。そこで、内申の重さが決まる仕組み、学力検査の比重が高い型、評定がつかないときの規定を押さえたうえで、東京都・大阪府・神奈川県の来年の春の要項を同じ表に並べ、自分の県の要項で見る場所と中学校への聞き方まで、要項と文部科学省の通知の原文で確かめながら整理しました。
内申が低くても、つかなくても、受けられる高校はあります。内申の重さは都道府県の選抜要項で決まり、学校ごとに比率が違う県もあります。探す方向は4つで、①学力検査の比重が高い学校や型 ②評定がつかない場合や長期欠席の規定 ③公立の定時制・通信制の入試 ④私立の入試方式です。高卒認定という道もあります。今日できるのは、住んでいる都道府県の来年の春の選抜要項を開き、「調査書」「評定」「学年」「倍率(比率)」の4語でページを探すことです。
2026年10月時点の制度で確かめています
出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
内申が低くても受けられる高校はある

内申が低いこと、評定がつかないことを理由に、出願そのものができなくなる仕組みは、ここで確かめた要項にはありません。違いが出るのは、出願したあとの「合否を決める計算」の中で、内申がどれだけの重さを持つかです。その重さは、県によっても、学校によっても、学校の種類によっても変わります。
公立高校の入試は、中学校が書く調査書と、当日の学力検査や面接などを合わせて選ぶ形が基本です。調査書の中にある各教科の評定を点数にしたものが、一般に「内申点」と呼ばれています。この点を何年生の分から数えるか、学力検査の点とどんな割合で足し合わせるかを、都道府県の教育委員会が要項で決めています。だから「内申が低い=公立は無理」とは言い切れず、「どの県の、どの学校の、どの計算なら、内申の重さが小さいか」という問いに置き換えられます。
国も、不登校の生徒の高校入試について通知の中で触れています。
高等学校入学者選抜について多様化が進む中,高等学校で学ぶ意欲や能力を有する不登校生徒について,これを適切に評価することが望まれること。
この一文は「望まれる」という書き方で、どう評価するかの中身は書かれていません。具体的な方法を決めるのは、それぞれの都道府県の要項と、私立なら学校の募集要項です。そのため、この記事で並べる例も「東京都ではこう書かれている」という形にとどめ、全国に当てはめません。
| いまの状況 | 先に見る方向 | 確かめる書面 |
|---|---|---|
| 評定はついているが低い | 学力検査の比重が高い学校・型 | 県の選抜要項(比率・倍率の項) |
| 一部の教科で評定がつかない見込み | 評定がつかない場合の扱い | 県の選抜要項(調査書の項) |
| 長く欠席していて、病気などの事情もある | 長期欠席の申請の仕組みがあるか | 県の選抜要項・中学校の先生 |
| 毎日の登校は難しそう | 公立の定時制・通信制の入試 | 定時制・通信制の要項・入学案内 |
| 公立以外も考えたい | 私立の入試方式 | 各校の募集要項 |
※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。
たとえば、中3の秋で、評定は1や2が多いけれどついてはいる場合は、表の1行目から見ます。一方、中1から欠席が続いていて、中学校から「いくつかの教科は評定がつけられないかもしれない」と言われている場合は、2行目と3行目が先です。同じ「内申が低い」でも、評定が低いのか、つかないのかで、要項の中で読む場所が変わります。
迷ったときは、「低い」と「つかない」を分けて考えるところから始めると、要項のどこを開けばいいかが決まります。
内申の重さと学年は県の要項で決まる
内申(調査書の評定)を何年生の分から使うか、学力検査とどんな割合で合わせるかは、都道府県で大きく違います。2026年10月時点で公表されている来年の春(令和9年度)の要項から、東京都・大阪府・神奈川県の全日制の一般的な選抜を例に並べます。
違いが生まれるのは、公立高校の入学者選抜の方法を、それぞれの都道府県の教育委員会が規則と要項で決めているからです。中学校の何年生の学習を見るか、当日の検査とどちらを重く見るかには、県ごとの考え方が表れます。ネットで「内申は中3だけ」「内申と当日点は半々」と書かれていても、それはどこかの県の話であることが多いのです。
| 東京都 | 大阪府 | 神奈川県 | |
|---|---|---|---|
| 評定を使う学年 | 中3だけ | 中1・中2・中3 | 中2・中3(中1は使わない) |
| 学年の重み | 中3のみ | 中1:中2:中3=2:2:6 | 中2の合計+中3の合計×2 |
| 計算の特徴 | 学力検査をする教科は評定を1倍、しない教科は2倍 | 評定450点満点・学力検査450点満点 | 中2と中3(中3は2倍)の合計を100点満点に換算 |
| 学力検査との比率 | 原則7:3(芸術・体育の学科は6:4) | 5つのタイプから各高校長が選び、教育委員会が決定する | 学校が2:8〜8:2の範囲で決める |
| 学校ごとの違い | 7:3と10:0の高い方で選ぶ学校がある | タイプⅠ〜Ⅴ | 係数f・gを学校が設定 |
出典:東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」/大阪府教育委員会「令和9年度大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項」一般入学者選抜/神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校の入学者の募集及び選抜実施要領」
※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。
この表から分かるのは、同じ「中1で長く休んでいた子」でも、県によって影響の出方が違うということです。東京都と神奈川県では中1の評定は計算に入りません。大阪府では中1の評定も2の重みで入りますが、中3の6に比べると軽くなっています。中3になって登校できる日が増えてきた子なら、中3の重みが大きいこと自体が見通しの材料になります。
要項は分量の多い冊子です。自分の県の要項を開いたら、次の4つを目次やページ内の検索で探してください。
- 調査書:何を記載するか、評定をどう点数にするか
- 評定と学年:何年生の評定を使い、学年ごとの重みはどうか
- 比率(倍率):学力検査と調査書をどんな割合で合わせるか、学校ごとに違うか
- 評定がつかない場合:斜線・未記入・長期欠席など、資料が整わない人の扱い
もう1つ確かめたいのが年度です。いま中3の子が受けるのは来年の春の入試で、県のページには前の年の要項と並んで載っていることがあります。表紙の年度を見てから読むと、古い計算で見通しを立ててしまうことを防げます。
たとえば、東京都に住んでいて中1・中2は長く休み、中3では別室に通えている場合、評定が使われるのは中3の分だけです。同じ状況で大阪府に住んでいる場合は、中1・中2の評定も軽い重みで入るので、中3の評定と学力検査の両方をどう組み合わせるかが問いになります。神奈川県なら、中2と中3の評定が入り、中3が2倍の重みです。
要項の言葉が読みにくいときは、該当のページに付箋を貼り、中学校の進路の先生に「ここはうちの子の場合どうなりますか」と見せるのが早道です。
学力検査の比重が高い高校を探す
評定が低い場合に最初に探したいのは、学力検査の点を重く見る学校や選抜の型です。どの学校がそうかは、県の要項か、要項と一緒に公表される学校ごとの一覧に書かれています。学校の名前を人づてに聞くより、要項で確かめるほうが確実です。
大阪府では各高校長がタイプを選んで教育委員会が決定し、神奈川県では学校ごとに係数を決めます。そのため、評定を重く見る学校もあれば、当日の検査を重く見る学校もあります。評定が低い子にとっては、後者の学校が「内申の重さが小さい学校」になります。
3つの都府県の要項では、学力検査を重く見る仕組みがそれぞれ違う形で書かれています。
| 学力検査を重く見る仕組み | 学校の調べ方 | |
|---|---|---|
| 東京都 | 7:3と10:0(学力検査だけ)のそれぞれで合計を出し、高い方を使う学校がある | 実施要綱の別表で対象の学校を確かめる |
| 大阪府 | 学力検査と評定にかける倍率を、タイプⅠ(1.4/0.6)〜Ⅴ(0.6/1.4)から各高校長が選び、教育委員会が決定する | 学校ごとのタイプの一覧で確かめる |
| 神奈川県 | 評定と学力検査の比率を各校が2:8〜8:2の範囲で決める | 各校の選抜の資料で係数を確かめる |
出典:東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」/大阪府教育委員会「令和9年度大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項」一般入学者選抜/神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校の入学者の募集及び選抜実施要領」
※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。
東京都の「7:3と10:0の高い方」は、受検者ごとに2つの計算をして、その人に有利な方を使うという意味です。当日の学力検査の得点に比べて評定が低い子なら、10:0の計算の方が高くなることがあります。大阪府のタイプⅠは学力検査に1.4、評定に0.6をかけるので、5つのうちで最も学力検査を重く見る型です。神奈川県で学力検査の比率を8にしている学校なら、評定の比率は2になります。
ただし、比率の高い低いは、合格しやすさをそのまま表すものではありません。学力検査を重く見る学校は、当日の検査の点で差がつきやすい学校でもあります。評定が低いぶん当日の点を取れる見込みがあるか、子の学習の状況と合わせて考える必要があります。この記事で「この比率なら受かる」と書かないのは、合否が志願者の顔ぶれと年度で変わり、公的な目安がないからです。
たとえば、大阪府で評定が低く、家での学習は続けられている場合は、タイプⅠやⅡを選んでいる学校を一覧で探し、通える範囲の学校に印をつけるところから始められます。反対に、学力検査の勉強も思うように進んでいない場合は、比率だけで学校を絞らず、下の定時制・通信制や私立の方式も同じ机に並べておきます。
学校を探すときの軸は、「比率を見て候補を広げ、学習の状況を見て候補を絞る」です。比率で外した学校も、来年の要項で変わることがあるので、年度ごとに見直します。
評定がつかないときの扱いを確かめる
欠席が長く続くと、教科によっては評定がつかず、調査書に斜線が引かれることがあります。評定がつかない受検者をどう選考するかも、県の要項に書かれています。
評定をつけられるかどうかは、学習の様子を評価できる材料があるかで決まります。東京都の要綱では、出席日数が少ないため、参考にできる資料等を活用しても観点別学習状況の評価を行うことができないと中学校長が判断する場合や、評定を行うことができない教科がある場合に、その教科を斜線にするとしています。斜線にするかどうかを判断するのは中学校長で、家の側や高校が決めるものではありません。
そのうえで、東京都の要綱は、斜線の受検者の扱いを次のように書いています。
評定を行うことができずに評定が斜線 / (スラッシュ)となっている教科のある受検者については、学力検査の得点等の参考にできる資料を活用して当該都立高校が調査書点を求める。
つまり東京都では、斜線の教科があっても選考から外れるわけではなく、志願先の高校が学力検査の得点などをもとに調査書点を求めます。なお、推薦選抜では斜線の扱いを各校が定めるとされています。要綱には「不登校」という言葉は出てこないので、「不登校ならこうなる」と読み替えず、「評定が斜線のとき」の規定として読みます。
神奈川県には、別の形の規定があります。病気など特別な事情がある志願者は、長期の欠席を理由とする選抜方法の申請書を志願先の高校長に出すことができ、高校長が長期欠席者と認めた場合は、参考にできる資料を活用して選考されます。対象は「病気等、特別な事情を有する志願者」と書かれていて、欠席が長いだけで使える仕組みではありません。認めるかどうかを決めるのは志願先の高校長です。また、この申請の対象にならない高校もあります(要領では県立相模向陽館高校を除くとしています)。
- 斜線にするかは中学校長が判断
- 志願先の高校が学力検査の得点等から調査書点を求める
- 病気等の特別な事情がある人が申請できる
- 高校長が長期欠席者と認めれば、参考にできる資料で選考
※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。
埼玉県・福岡県・岐阜県・千葉県のように、自分の状況を伝える「自己申告書」などの書類を要項で用意している県もあります。4つの県の書類の違いは、不登校からの高校受験にまとめています。
たとえば、中3の1学期にほとんど登校できず、いくつかの教科で評定がつかない見込みの場合は、まず中学校に「斜線になりそうな教科はどれか」を聞き、次に県の要項で斜線の受検者の扱いを探します。病気で長く入院していたなど、特別な事情がある場合は、申請の仕組みがあるかも合わせて確かめます。
評定がつかないことは、「点がゼロになる」とは限りません。誰が判断し、どの資料を使って選ぶのかが要項に書かれている(東京都は志願先の高校が、学力検査の得点等の参考にできる資料を活用して調査書点を求める)ので、そこまで読んでから見通しを立てます。
定時制・通信制の高校の入試を見る
公立の定時制・通信制は、全日制とは違う方法で選抜することがあります。学力検査をせずに面接で選ぶ県もあれば、学力検査を行う県もあり、ここも都道府県の要項で決まります。
大阪府の通信制では、生まれた年によって「面接と調査書による選抜」と「面接による選抜」に分かれています。このように、定時制・通信制の選抜の方法や調査書の扱いは、全日制と同じとは限りません。
大阪府の令和9年度の要項では、公立の通信制は学力検査を実施せず、面接を行うとされています(年齢によって、面接と調査書で選ぶか、面接で選ぶかが分かれます)。一方、東京都の都立の通信制は、令和9年度の実施要綱で、前期・後期のどちらの選抜でも国語・数学・英語を総合した学力検査を行うとしています。同じ「公立の通信制」でも、県によって入試の形が違うということです。
| 大阪府の公立の通信制 | 東京都の都立の通信制 | |
|---|---|---|
| 学力検査 | 実施しない | 国語・数学・英語を総合して行う(前期・後期とも) |
| 面接など | 面接を行う | 要綱と各校の募集要項で確認 |
| 調べる書面 | 府の選抜要項 | 通信制課程の入学者選抜実施要綱 |
出典:大阪府教育委員会「令和9年度大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項」一般入学者選抜/東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校通信制課程入学者選抜実施要綱」
※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。
この表から言えるのは、「通信制なら試験がない」と一般化できないことです。住んでいる県の公立の通信制・定時制が、学力検査をするのか、面接や作文で選ぶのか、調査書をどう使うのかは、要項の定時制・通信制の項で確かめます。公立の通信制の学費と入り方は、公立の通信制高校はいくらでどう入る?にまとめています。
たとえば、大阪府に住んでいて、学力検査の準備も評定も見通しが立たない場合は、面接で選ぶ公立の通信制が候補に入ります。東京都に住んでいる場合は、都立の通信制にも学力検査があるので、どの範囲の問題が出るかを実施要綱と学校の案内で確かめてから準備の計画を立てます。
定時制・通信制を考えるときは、入試の形と同じくらい、入学したあとの通い方が大事です。通信制はレポートとスクーリング(登校)と試験で単位を取る仕組みで、学校ごとに登校の日数や場所が違います。私立の通信制も含めた比べ方は、通信制高校の選び方で整理しています。入試で選べるかと、卒業まで通えるかの両方で候補を見ておくと、入ってからの見通しも立ちます。
私立高校は学校ごとの入試方式を見る
私立高校の入試は、都道府県の要項ではなく、それぞれの学校の募集要項で決まります。調査書をどの程度使うか、出願に評定の条件があるか、当日の試験だけで選ぶ方式があるかは、学校ごと、入試の種類ごとに違います。
私立高校は、建学の精神や教育の方針に合わせて入試を作ります。そのため、推薦や併願のように評定の条件を出願の目安にする方式もあれば、当日の試験の結果を中心に選ぶ方式もあります。同じ学校の中でも、入試の種類によって調査書の重さが変わることがあります。
募集要項や説明会では、次の項目を見ておくと比べやすくなります。
- 入試の種類(推薦・併願・一般など)ごとの、出願の条件
- 調査書を提出するか、選抜でどのくらい使うか
- 評定に斜線がある場合や、欠席が多い場合の扱い
- 当日の試験の教科・面接・作文の有無
- 入学後に、登校が難しい日が続いたときの相談の体制
塾の記事でよく見る「内申点が関係ない入試」は、多くがこうした私立の方式を指しています。ただ、どの学校がどの方式をとっているかは毎年の募集要項で変わることがあり、この記事では学校の名前も、評定の目安の数字も書きません。目安の数字は、学校に直接聞いたものだけを使ってください。
たとえば、評定は低いが当日の試験には向けて勉強を進められている場合は、一般の入試で調査書の扱いが軽い方式を、説明会で確かめます。欠席が多いことを心配している場合は、個別相談で「欠席が多いのですが、出願や選考でどう扱われますか」と聞くと、その学校の考え方が分かります。
私立は「学校ごと・方式ごと」が原則です。候補が増えたら、公立と私立を同じ表に並べ、どの方式で受けるかまで書き込んでおくと、出願の時期が重なったときにも整理しやすくなります。学費の違いは、学校の資料と学費シミュレーターで確かめます。
内申を上げる前に知っておきたい仕組み
内申を上げる方法を調べる前に、欠席中の学習を評価に反映する仕組みがあることを知っておくと、学校と話せることが増えます。ただし、出席の扱いと成績の評価は別の通知で決まっていて、どちらも判断するのは学校です。
出席扱いは、令和元年の通知(元文科初第698号)の別記に要件があり、自宅でICT等を使って学習する場合は7つの要件が示されています。判断は校長です。同じ別記には、出席扱いにした場合でも、学習の成果を評価に必ず反映しなければならないわけではない、とも書かれています。
成績の評価は、令和6年8月29日の通知(6文科初第1126号)で、義務教育段階の不登校の子について、3つの要件をすべて満たす場合に、欠席中の学習の成果を成績評価に反映できるとされました。3つは、学校が学習の計画と内容を在籍校の教育課程に照らして適切と確かめること、学校と保護者の間で連携して学習の状況を定期的に把握すること、学校が訪問やオンラインで子の学習の状況を定期的に把握することです。
出典:文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」/文部科学省 元文科初第698号 別記2
| 出席の扱い | 成績の評価 | |
|---|---|---|
| 決まっている通知 | 令和元年の通知の別記 | 令和6年8月29日の通知 |
| 要件の数 | 自宅でICT等の場合は7つ | 3つ(すべて満たす) |
| 判断する人 | 校長 | 学校 |
| 内申との関係 | 出欠の記録に関わる | 評定のつけ方に関わる |
内申(評定)に直接関わるのは、表の右の列です。家での学習の成果を評定に反映できるかは、学校が計画と内容を確かめ、状況を把握し続けられるかにかかっています。つまり、家で学習を続けているだけでは足りず、学校と計画を共有し、様子を伝え続ける仕組みを作ることが前提になります。出席扱いの条件をくわしく見たいときは、出席扱いの条件と校長判断にまとめています。
たとえば、中2の秋から家でオンラインの教材を使って学習している場合は、担任に「この学習を成績の評価に反映していただける可能性はありますか。そのために学校と何を共有すればよいですか」と聞くことができます。反映するかどうかは学校の判断なので、聞いた答えは日付と一緒にメモしておきます。
勉強法や定期テストの対策は、この記事では扱いません。内申について家から動けるのは、「学校と、評価の材料をどう共有するか」を相談するところまでです。そこから先は、学校が判断します。
内申のことで中学校の先生に聞くこと
内申の見通しを一番よく知っているのは、調査書を書く在籍中の中学校です。県の要項を読んだら、次は中学校に、調査書の評定と出欠がどう書かれる見込みかを聞きます。
聞くことを先に決めておくと、短い電話や面談でも話が進みます。
- 調査書の評定と出欠の記録は、いまの時点でどう書かれる見込みか
- 評定がつかず斜線になりそうな教科はあるか
- 県の要項にある、長期欠席や資料が整わない人の仕組みが使えそうか
- 欠席中の学習を評価に反映する相談ができるか
- 志望校の候補の選抜の型(比率・タイプ・係数)をどこで確かめればよいか
- 1県の要項を開く調査書・評定・学年・比率の項を探す
- 2中学校に聞く評定と出欠の見込み・斜線の有無
- 3志望校の資料を見る選抜の型と募集要項
- 4候補を並べる全日制・定時制・通信制・私立
中学校の先生への伝え方の例です。
電話で
「◯年◯組の◯◯の保護者です。高校の選び方の相談で、調査書の評定の見込みについて伺いたいことがあります。お時間をいただけますか。」
面談で
「県の要項の、このページを読んできました。うちの子の調査書では、評定がつかない教科が出そうでしょうか。その場合、どの扱いになるかも教えてください。」
連絡帳や学校のアプリで
「志望校を考え始めています。評定の見込みと、家での学習を評価に反映していただく相談ができるかを、次の面談で伺えますか。」
聞く時期は、要項が公表されたあとに一度、出願先を決める前にもう一度が目安です。評定は学期ごとに変わることがあるので、1回で決めずに、見込みが変わっていないかを確かめ直します。聞いた答えは、日付と先生の名前と一緒にメモしておくと、次の相談で見込みの変化が分かります。
志望校の候補と資料をそろえる

候補を決める材料は、無料で手に入るものから集めます。公立の全日制・定時制・通信制の選抜の型は県の要項と学校のページに、私立の入試方式と学費は学校ごとの募集要項と資料に載っています。
| 資料・窓口 | 費用 | 分かること |
|---|---|---|
| 都道府県の教育委員会の選抜要項・入学案内 | 無料 | 評定の学年と重み・比率・評定がつかない場合の扱い・定時制と通信制の選抜方法 |
| 在籍している中学校の進路の先生 | 無料 | 調査書の評定と出欠の見込み・斜線の有無・申請の仕組みが使えるか |
| 志望校の募集要項・学校説明会 | 無料 | 入試の種類ごとの条件・調査書の使い方・面接や作文の有無 |
| 私立の通信制高校の資料 | 無料(請求) | 入試の方法・登校の日数と場所・学費の内訳 |
| 高卒認定の受験案内(文部科学省) | 無料 | 年2回の試験・満16歳以上・9〜10科目 |
高校に入らずに高卒認定を受ける道もあります。年2回の国の試験で、受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる人が受けられ、合格に必要な科目は理科の選び方で9〜10科目です。くわしくは高卒認定試験とはにまとめています。
資料が集まったら、候補の学校を列に、「評定を使う学年」「比率・型」「評定がつかない場合」「当日の検査」「通い方」の5つを行にした表を作ります。空いたマスが、要項で探すことか、学校に聞くことになります。
※都道府県で違います。お住まいの都道府県の要項で確認してください。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
公立高校の選抜の型は、上の表のとおり県の要項(無料)と中学校の先生で確かめられます。私立の通信制高校の入試の方法や学費は、学校ごとの資料にしか載っていません。複数校の資料をまとめて請求できる無料のサービスもあり、届いた資料は候補を並べる表の行に分けて書き写せます。
内申と高校選びを無料で相談できる窓口

内申の見通しや高校の選び方は、無料の公的な窓口でも相談できます。子ども本人からでも、保護者からでも利用できるものがあります。
- 在籍中学校の担任・進路の先生:調査書の見込み・要項の読み方・出願の手続き
- 都道府県の教育委員会(高校入試の担当):選抜要項の内容や、長期欠席の申請についての問い合わせ
- 市区町村の教育委員会の教育相談:学校とのやりとりの進め方の相談
- 教育支援センター(適応指導教室):市区町村の教育委員会が置く学びの場。利用は無料で、進路の相談ができるかも聞ける
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(文部科学省。24時間)
- 子どもの人権110番:0120-007-110(法務省。平日8時30分〜17時15分・無料。子どものことで悩む大人も利用できる)
- 児童相談所相談専用ダイヤル:0120-189-783(こども家庭庁。無料)
使い分けの目安は、調査書や評定の話なら中学校、要項の決まりの話なら都道府県の教育委員会、学校とどう話せばいいか迷うなら市区町村の教育相談、夜にいま話を聞いてほしいなら24時間子供SOSダイヤルです。子の心や体の調子について相談したいことがある場合は、この記事では扱いません。学校医・小児科・スクールカウンセラーへ相談してください。
出典:文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」/法務省「子どもの人権110番」/こども家庭庁「関連サービスの相談窓口」
窓口の一覧は相談できるところにもまとめています。
よくある質問
内申がいらない高校はどこですか?
学校の名前はこの記事では挙げません。代わりに、内申の重さが小さい選抜の型を探す方法があります。東京都なら7:3と10:0の高い方で選ぶ学校、大阪府ならタイプⅠのように学力検査を重く見る学校、神奈川県なら学力検査の比率を高くしている学校が、要項や学校ごとの資料で確かめられます。公立の通信制や私立の一部の方式も候補に入ります。
内申点31や33は低いのですか?偏差値でいうとどのくらいですか?
同じ数字でも、どの県の、どの学年の、何点満点の計算かで意味が変わります。東京都は中3の評定だけを使い、神奈川県は中2と中3(中3は2倍)を合わせて100点満点に換算し、大阪府は3学年分を450点満点にします。内申点を偏差値に置き換える公的な表はないので、この記事では偏差値は書きません。見通しは、自分の県の計算と志望校の型に当てはめて、中学校の先生に確かめるのが確かです。
内申が足りないと言われたら、諦めるしかないですか?
諦める前に、その「足りない」がどの計算での話かを確かめます。学力検査の比重が高い学校、評定がつかない場合の規定、定時制・通信制、私立の方式、高卒認定と、探す方向はいくつもあります。担任に「どの学校の、どの計算で足りないのか」を聞くと、次に見る場所が決まります。
内申が10足りないと言われました。どう考えればいいですか?
まず、何点満点の、何年生の評定の話かを確かめます。県によって満点も学年の重みも違うので、同じ「10」でも重さが違います。そのうえで、学力検査と合わせた合計で選ぶ学校なら、比率によって評定の差の効き方も変わります。合格の見込みは公的な目安がないので、志望校の型と合わせて中学校の先生に聞いてください。
面接や作文で内申の低さを補えますか?
面接や作文、特色検査をどう扱うかは、県の要項と学校ごとに決まっていて、補えるかどうかを一律には言えません。大阪府の公立の通信制のように面接で選ぶ課程もあれば、神奈川県のように特色検査の重みを学校が決める県もあります。受ける学校の選抜の資料で、面接や作文が何点で、どの計算に入るかを確かめます。
いつまでに志望校を決めればいいですか?
出願の時期から逆算します。公立の出願の時期は県で違い、私立は学校ごとです。中3の秋のうちに県の要項と志望校の募集要項をそろえ、中学校の先生に「次はいつ相談すればいいか」を聞いておくと、決める時期が見えてきます。
今日できることは1つ、住んでいる都道府県の教育委員会のページで来年の春の選抜要項を開き、「調査書」「評定」「学年」「倍率(比率)」の4語でページを探して、見つけたところに付箋を貼ることです。そのページを中学校の先生に見せれば、うちの子の場合の見通しを聞く最初の材料になります。

